京都アニメーション(京アニ)第1スタジオ放火のニュースは、アニメファンの皆さまならば、ふだんニュースを見ない方でもすでにご存知でしょう。
そんな京アニの放火事件ですが、今後どんな影響が出てくるのか、また容疑者が発していたという「パクりやがって」という言葉の意味はなんなのか、ジャム君の視点でではありますが考えていきます。
京アニ放火事件概要
京アニ(京都アニメーション)放火事件は、2019年7月18日に発生した放火殺人事件です。
容疑者は青葉 真司と公表されており、事件の際に自身も火傷をしており入院をしているため、未だ逮捕はされていません。
出典:あさチャン!/7月24日放送/TBS
犠牲者は放火事件で平成以降最悪の35人(2019年8月1時点)に上り、貴重な人材を失っただけでなく、令和になって早々に起こった惨事とも言えます。
精神疾患のある青葉容疑者
青葉真司容疑者は程度の重さまでは判明していませんが精神疾患を患っているという情報があり、時折訪問看護を受けることがあったようです。
訪問看護自体は悪いことではありませんし、精神疾患自体も本人はどうすることもできないので仕方がないものですが、今後の裁判において影響を及ぼす可能性があります。
7月20日夜には逮捕状が請求されていますので、このまま青葉容疑者側が逮捕に至ってしまい、「心神喪失」を理由に無罪を主張したとなると、医療観察法に則り対処され刑事責任を問われることがないため厄介です。
京アニ放火事件後、青葉容疑者を警察官が身柄拘束しようとしたところ「パクりやがって」といった意味不明な言葉を発していたこともあり、事件の被害者や遺族の方たちが納得のいく処罰がなされるか問われると、疑問の余地が残ります。
昔起こしたコンビニ強盗事件では服役した経歴を持っていますが、今回も犯行に至るにあたって精神状態に異常がないか問われると、判断が難しくなるところでしょう。
京アニの代表作
京アニ(京都アニメーション)の代表作品として、「AIR」「涼宮ハルヒの憂鬱」「らき☆すた」などなど、過去作品には数々の名作があります。
また本サイトでも扱った「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」なんかは2020年に劇場版も予定されているところです。
京アニの作品は、どれも有名な作品ばかりですよね。
ちなみにジャム君は上の2作品も好きですが、AIRが思い出深いですね。
友人に借りたゲームをきっかけにハマり、アニメの世界にも浸かり始めるきっかけになった作品のひとつだったと思います。
もちろん京アニも最初から準大手の存在だったわけではなく、もともとは単なる下請け業者でした。
それがここまでの人気作を生み出す会社にまで育ったのですから、その損失は計り知れません。
放火事件による作品への影響は?
放火事件により、現在放送(放映)が決まっている作品自体の「放送・放映中止予定はない」とのことですが、すでに放送(放映)開始時期が遅れる決定が出されているものもあります。
「Free!」の予告編は中止となってしまいましたが、映画自体が中止となるわけでない予定なのには安心しますね。
京アニ(京都アニメーション)が作業するアニメーション部分の作業が終わっている作品に関してはそのようなことはないと思われますが、アニメ制作会社は終盤まで作業に参加することがほとんど。
また今まで携わった作品の資料や作画も焼失してしまったため、別の場所に保管されていたデータから作成できることはあっても、過去に放映された京アニ作品のBlu-ray化・フィギュア化なんていうのも難しい状況かもしれません。
DVD全盛時代に放送されBlu-rayでリマスター版が販売されるアニメも多数ありますので、まさに「被害金額は甚大」となる事件と言えます。
データセンターは焼失を免れていたため、デジタル的なデータは無事のようです。
企業として適宜バックアップもされているでしょうが、作業中だったデータや原画などは、すべてダメになってしまったでしょう……
しばらく京アニアニメが見られない?
京都アニメーション第1スタジオが全焼し、さらにはアニメーターが多数なくなってしまったため、今後しばらく京アニのアニメは地上波から姿を消すと思われます。
前述した放送が決まっている分は除きますが、今クールから1年程度、少なくとも2020年の夏アニメくらいまでは、京アニの新アニメを地上波で見ることができなくなってしまうのではないでしょうか。
というのも、今からすぐに全焼してしまったスタジオを建て直す意向はなく取り壊すようですし、移転するにしても費用だけでなく、人員の補充が不可欠です。
運よく生存できたアニメーターの方も、京都アニメーションでこれまでどおり仕事ができる精神状況とは限りませんので、相当な人数のアニメーターを確保する必要が出てくると考えられます。
天下の京アニですから、いくらこのような事件があっても「働きたい」という方は山のようにいるでしょうが、京都アニメーションとして即戦力となる人材はもちろん、育成して京アニの水準を満たす人材が集まるかは疑問です。
即戦力として京アニを引っ張っていける方がすぐに集まり、スタジオ移転を急ピッチで行えない限り、京アニのアニメはしばらく見るのが難しくなりそうです。
「パクりやがって」発言の真意は
青葉 真司容疑者が発したとされる「パクりやがって」という言葉。
出典:放火したとみられる男の写真 京アニ火災 | AbemaTIMES
青葉容疑者は京都アニメーションに勤めていたこともなければ、同業他社に勤めていたこともありません。
2009年ですので10年前に郵便局に3年間勤めていましたが、コンビニ強盗事件を起こして服役していたため、解雇されています。
また県の非常勤職員として勤務していたことや、人材派遣会社に登録していたこともあるようですが、いずれも京都アニメーションとの関わりは感じさせられません。
職歴にてパクる要素はどこにもないのですが、今は「ネット」で情報発信がしやすくなっている時代ですので、青葉容疑者がネットで発信したものをパクられたと感じたのかもしれません。
小説を盗まれた?
報道では「小説を盗まれたからやった」という主旨で話していたという情報もあるようです。
完全に京都アニメーションオリジナルの作品ならばともかく、原作ありきの作品であれば、基本は原作に沿ってアニメ制作がなされるため、青葉容疑者が小説を書いていようと、盗まれる要素はないでしょう。
また作品に対する中傷やクレームのメールは200件近く匿名であったため、京アニのアニメを見たファンが過激な感想を送ったと考えられますが、自分の作品を盗まれたと「パクり」に対するメールはなかったため、青葉容疑者が自分の小説のパクリを発見しメールを送っていたとは考えにくいです。
特定社員を含めた、京アニへの脅迫や殺害予告もなされていたという報道もありますので、青葉容疑者含め、実際には誰かから恨みを買っており、特定の誰かを狙って放火に至った可能性はありそうです。
もし青葉容疑者が小説を書いており、それを京都アニメーションがパクったと思うような出来事があったのならば、京アニオリジナルストーリーでもなければ原作から似ていたはずと考えるべきでしょう。
それに「お前らがパクった」と京アニにメールが届いていなければ、辻褄が合いません。
実際には虚言の類なのでは?
京都アニメーションが、青葉容疑者だけでなく、どこからかストーリーをパクってアニメを作るとは考えにくいです。
青葉容疑者には精神疾患があり、隣人とも騒音トラブルを起こし警察沙汰になっているほどでしたから、思い込みや勘違いによる虚言や言いがかりの類なのではないでしょうか。
携行缶やガソリン、ライターを用意していたことから計画性が伺え、わざわざ在住の埼玉県から京都府まで移動しているなど執念も感じさせるため、小説をパクられたという被害妄想に取り憑かれていたのかもしれませんね……
小説は実際に送っていた報道もあるが?
虚言ではなく、青葉容疑者かは不明ですが、同姓同名の人が実際に京都アニメーション宛に小説を送っていたという報道もありました。
仮に青葉容疑者が京アニに小説を送っていたとしても、「小説をパクった」というには飛躍しすぎです。
すると、やはり京都アニメーションほどの存在が、送られてきた小説を元ネタにするとは考えにくく、仮にパクりがあったのならばメールで「パクった、金よこせ!」なり届いていてもいいものです。
なかったということは、やはり青葉容疑者が単に勘違いや思い込みをしていた可能性のほうが高いと言えるのではないでしょうか。
京都アニメーション作品の先は暗い?
京都アニメーション(京アニ)作品は放火に遭った第1スタジオのほかにも、本社とグッズを販売する京アニ&Doショップ!やその通販サイトが存在しています。
真っ先に影響があるのは人命まで失われ焼失した取り壊し予定の第1スタジオと、そんなスタジオと業務的なやり取りをすることも多かった本社でしょう。
とくに京都アニメーション第1スタジオはすぐに業務再開することは困難ですから、今後の作品への影響は不可避と言えそうです。
業界準大手までのし上がった京アニですが、その未来は現状真っ暗になってしまいました。
嬉しいニュースとしては、アメリカのアニメ配給会社大手のセンタイフィルムワークスがクラウドファンディングで、京アニのために寄付を募ってくれています。
Help us help our friends at Kyoto Animation by donating (if you can) or sharing: https://t.co/Fg599lm5Dy
— Sentai 🌞 Filmworks (@SentaiFilmworks) 2019年7月18日
初稿執筆時点(2019/07/24)で、目標額だった750,000ドルを倍以上上回る1,839,830ドルの寄付が集まっています。
日本円にして1億9,800万円程度にも達するほど。
集まった寄付金は全額寄付してくれるというセンタイフィルムワークスには、いくら感謝してもし足りないくらいですね。
センタイフィルムワークスは、大ヒットしたけいおん!なんかも取り扱っている配給会社です。
そんなアメリカの会社が企画したクラウドファンディングに賛同し、寄付をしてくれた方々にも感謝ですね!
約2億円程度で失われた損害をすぐに取り戻せることはないでしょうが、復旧の足がかりにはなってくれそうです。
亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、京都アニメーション作品をこれまでどおり届けられるようになってくれたら嬉しいなと、京アニファンの1人として切に願います。
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