キノの旅10話の解説&考察!優しい国を旅立つ者と留まる者

キノの旅 さくらとキノ キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series
(C)2017 時雨沢恵一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/キノの旅の会
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旅人が行くと店が閉まる・品切れになる、という悪評判の国。はたして実際は・・・?

こんにちは、「キノの旅」担当のsumi_misakiです。
忘年会シーズンで、飲み会が増えてきましたがいかがお過ごしですか?

前回は、いろいろな国ということで短編集でしたが、今回はまた一つの国のお話。

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◆さくらの質問の意味 やりたいことをやる人生

嫌なことがあっても旅を続ける、というキノに対して

「それは…キノさんがするべきことだと思っているからですか?」

「僕がやりたいことだと思ってるからさ」

さくらは、迷っていたのかもしれない。

大人たちからは知らされていないが、さくらも大規模な火砕流が来ることを知っていた。

両親はこの国と一緒にほろびる道を選んでいる、自分はどうしたらいいのか。

知らないふりをしてこのまま残ったほうがいいのか。

最後は自分の意思で決めたように感じた。

両親から、旅に出ることを勧められた際に

キノの旅 さくら

(C)2017 時雨沢恵一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/キノの旅の会


出典:キノの旅/12月9日放送/TOKYO MX

「私はどこも行かないよ。ここで勉強してここで一番の案内人になる!
それが私の夢だもん!

これがさくらのやりたいこと。ずっと持っている夢。

そして、そのまま両親と暮らす選択をしたさくら。
大人のやさしい嘘に答えるように、知らないふりをする。

さくらの知らないふり

なぜ、さくらは知っていたのか?

大人しか知らされていないはずのこれから起きることを、なぜさくらが知っていたのか。

これは推測だが、結婚式を挙げた新郎新婦に「なぜ二十歳になる前に急いで式を挙げるのか」聞いてみたのかもしれない。

キノが入国したときに、自ら宿泊先を提案するなど、本来は行動力のあるさくらなので、ありえるかもしれない。

幸せになれる種

国に残ると決めたさくらは、手紙の中にキノから譲ってもらった種を入れて返す。

「その種を持って“明日の朝”を迎えた人が次に幸せな花嫁になれる」と言い伝えのある種。

《私が持っていても仕方がありません。あなたのです。お気を付けて。私たちのことを…忘れないで――さくら》

今までは当たり前に訪れた“明日の朝”が、自分にはもう来ることはない。この種を受け取ったのはキノなので、あなたが持っていてほしいと種を返す。

結末を知ってからさくらの言葉を振りかえるととても切ない。さくらは、この種のことを話しているときに「ほしい」とは言っていなかった。

キノの旅 キノとさくら

(C)2017 時雨沢恵一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/キノの旅の会


出典:キノの旅/12月9日放送/TOKYO MX

キノが譲ってくれた時に思わず出た「いつかほしいと思っていた」という、さくらの本音がなんとも言えない。

そして、その時までいつもと変わらない日常を送る国民の姿が、また違って見えるような気がする。

キノの想い エゴとは?

手紙を読んだ後のキノの言葉

「僕は、さくらちゃんが“お預け”されなくて助かったと…ホッとしている」

別れ際にもらった、さくらの両親からの手紙を読み返すキノ。両親の言う、夢を尊重するという形で「あの子を連れていく」というのは、他人が決めていいことではない。親のエゴである。

キノの旅 キノ

(C)2017 時雨沢恵一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/キノの旅の会


出典:キノの旅/12月9日放送/TOKYO MX

これは、キノ自身が周りの人に決められた人生を歩んできて、そこから抜け出すように旅を始めたことを彷彿とさせる。
親であっても他人の人生を決めていいわけではない、というキノの想いが伝わるセリフ。

◆修理屋のおじさんの言葉の意味

キノがカノンを修理後に受け取りに行くと、おじさんが“森の人”という武器を譲ってくれるという。

キノの旅 森の人

(C)2017 時雨沢恵一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/キノの旅の会


出典:キノの旅/12月9日放送/TOKYO MX

「受け取ってくれるね?」
「コイツはまだまだ使える。私と一緒に朽ち果てさせるのは惜しい…昔みたいにコイツに旅をさせてやりたいんだ」

強いまなざしで拒否権のない言葉。

これは、寿命でもう先が長くないという意味だと思っていたが、国ごとなくなってしまうなら、なんとかこれだけでも、と大事な武器をゆずってくれたのだろう。

そして、「驚いたよ…ホントに驚いた」「長生きはするものだな」のセリフから察するに、おじさんは師匠と面識があるようだった。

だからこそ、見ず知らずのひとに譲るくらいなら、キノに、と思ったのかもしれない。

国民の優しさと厳しさの理由

国が滅びることが分かってから、国民は不遜な態度を改めた。入国前に聞いていた不親切な国との評判は正しかった。

・キノの滞在が3日間と答えた時の、国民の安堵した様子
・滞在の延長を申し出たときの強い拒否
・出国する際の「 “必ず”尾根まで登ってから休まれた方が良い」との発言

これは、それ以上ここにいると巻き込まれますよ、という国民の優しさであった。

国民は、あえて国にとどまることを決めた。
ここで育ち、他の生き方を知らない。だからここに残ります、と。

キノの旅10話の感想

「こんなに親切にされて、楽しかった国は初めてです」
今回のキノは、本当にこの国を満喫していた様子。

キノの旅 キノとさくら

(C)2017 時雨沢恵一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/キノの旅の会


出典:キノの旅/12月9日放送/TOKYO MX

さくらをエルメスに乗せて街を案内してもらったり、めったにしない滞在延長を申し出たり。

さくらが両親のような案内人になりたいと相談した時には、
『なれるさ。いや、もう既に立派な案内人だよ。この二日間、僕はとっても楽しかった』
と返すなど、いつものキノより感情豊かに感じた。

しかし、別れは突然に。

“最後は” 優しかった国

悪い評判ばかりだったこの国は、国民の意思で優しい国として終わっていった。

ここしか知らないから、この国とともに滅びる道を選んだ人々と、知らないことを知るために旅を続けるキノとが、対比になるような話でした。

キノの旅 さくらとキノ

(C)2017 時雨沢恵一/KADOKAWA アスキー・メディアワークス/キノの旅の会


出典:キノの旅/12月9日放送/TOKYO MX

残念ながら、「またいつか」という言葉は叶うことはありませんでした。

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