旅人が行くと店が閉まる・品切れになる、という悪評判の国。はたして実際は・・・?
こんにちは、「キノの旅」担当のsumi_misakiです。
忘年会シーズンで、飲み会が増えてきましたがいかがお過ごしですか?
前回は、いろいろな国ということで短編集でしたが、今回はまた一つの国のお話。
◆さくらの質問の意味 やりたいことをやる人生
嫌なことがあっても旅を続ける、というキノに対して
「それは…キノさんがするべきことだと思っているからですか?」
「僕がやりたいことだと思ってるからさ」
さくらは、迷っていたのかもしれない。
大人たちからは知らされていないが、さくらも大規模な火砕流が来ることを知っていた。
両親はこの国と一緒にほろびる道を選んでいる、自分はどうしたらいいのか。
知らないふりをしてこのまま残ったほうがいいのか。
最後は自分の意思で決めたように感じた。
両親から、旅に出ることを勧められた際に
出典:キノの旅/12月9日放送/TOKYO MX
「私はどこも行かないよ。ここで勉強してここで一番の案内人になる!
それが私の夢だもん!」
これがさくらのやりたいこと。ずっと持っている夢。
そして、そのまま両親と暮らす選択をしたさくら。
大人のやさしい嘘に答えるように、知らないふりをする。
さくらの知らないふり
なぜ、さくらは知っていたのか?
大人しか知らされていないはずのこれから起きることを、なぜさくらが知っていたのか。
これは推測だが、結婚式を挙げた新郎新婦に「なぜ二十歳になる前に急いで式を挙げるのか」聞いてみたのかもしれない。
キノが入国したときに、自ら宿泊先を提案するなど、本来は行動力のあるさくらなので、ありえるかもしれない。
幸せになれる種
国に残ると決めたさくらは、手紙の中にキノから譲ってもらった種を入れて返す。
「その種を持って“明日の朝”を迎えた人が次に幸せな花嫁になれる」と言い伝えのある種。
今までは当たり前に訪れた“明日の朝”が、自分にはもう来ることはない。この種を受け取ったのはキノなので、あなたが持っていてほしいと種を返す。
結末を知ってからさくらの言葉を振りかえるととても切ない。さくらは、この種のことを話しているときに「ほしい」とは言っていなかった。
出典:キノの旅/12月9日放送/TOKYO MX
キノが譲ってくれた時に思わず出た「いつかほしいと思っていた」という、さくらの本音がなんとも言えない。
そして、その時までいつもと変わらない日常を送る国民の姿が、また違って見えるような気がする。
キノの想い エゴとは?
手紙を読んだ後のキノの言葉
「僕は、さくらちゃんが“お預け”されなくて助かったと…ホッとしている」
別れ際にもらった、さくらの両親からの手紙を読み返すキノ。両親の言う、夢を尊重するという形で「あの子を連れていく」というのは、他人が決めていいことではない。親のエゴである。
出典:キノの旅/12月9日放送/TOKYO MX
これは、キノ自身が周りの人に決められた人生を歩んできて、そこから抜け出すように旅を始めたことを彷彿とさせる。
親であっても他人の人生を決めていいわけではない、というキノの想いが伝わるセリフ。
◆修理屋のおじさんの言葉の意味
キノがカノンを修理後に受け取りに行くと、おじさんが“森の人”という武器を譲ってくれるという。
出典:キノの旅/12月9日放送/TOKYO MX
「受け取ってくれるね?」
「コイツはまだまだ使える。私と一緒に朽ち果てさせるのは惜しい…昔みたいにコイツに旅をさせてやりたいんだ」
強いまなざしで拒否権のない言葉。
これは、寿命でもう先が長くないという意味だと思っていたが、国ごとなくなってしまうなら、なんとかこれだけでも、と大事な武器をゆずってくれたのだろう。
そして、「驚いたよ…ホントに驚いた」「長生きはするものだな」のセリフから察するに、おじさんは師匠と面識があるようだった。
だからこそ、見ず知らずのひとに譲るくらいなら、キノに、と思ったのかもしれない。
国民の優しさと厳しさの理由
国が滅びることが分かってから、国民は不遜な態度を改めた。入国前に聞いていた不親切な国との評判は正しかった。
・キノの滞在が3日間と答えた時の、国民の安堵した様子
・滞在の延長を申し出たときの強い拒否
・出国する際の「 “必ず”尾根まで登ってから休まれた方が良い」との発言
これは、それ以上ここにいると巻き込まれますよ、という国民の優しさであった。
国民は、あえて国にとどまることを決めた。
ここで育ち、他の生き方を知らない。だからここに残ります、と。
キノの旅10話の感想
「こんなに親切にされて、楽しかった国は初めてです」
今回のキノは、本当にこの国を満喫していた様子。
出典:キノの旅/12月9日放送/TOKYO MX
さくらをエルメスに乗せて街を案内してもらったり、めったにしない滞在延長を申し出たり。
さくらが両親のような案内人になりたいと相談した時には、
『なれるさ。いや、もう既に立派な案内人だよ。この二日間、僕はとっても楽しかった』
と返すなど、いつものキノより感情豊かに感じた。
しかし、別れは突然に。
“最後は” 優しかった国
悪い評判ばかりだったこの国は、国民の意思で優しい国として終わっていった。
ここしか知らないから、この国とともに滅びる道を選んだ人々と、知らないことを知るために旅を続けるキノとが、対比になるような話でした。
出典:キノの旅/12月9日放送/TOKYO MX
残念ながら、「またいつか」という言葉は叶うことはありませんでした。
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