みなさまこんにちは。
アニメ
ついにBANANA FISHカフェ&バーがオープンしましたね。
ノイタミナショップと合わせていってみたいと思いつつ、開催期間中に行けるかどうか…。
(でも行きたい!)
前回からいよいよディノやオーサーとの全面対決の様相を呈してきたBANANA FISH。
アッシュの策により、多大な損害を被ったディノは一時ヨーロッパへ行かねばならなくなり、オーサーに報復を託します。
そして12話はアッシュvs.オーサー、因縁の対決前夜が描かれていました。
非常に目まぐるしい展開の中、私が個人的に好きなあのシーンがカットされてしまい、結局今週も泣いてしまいました。(前回までと違って悔し泣きでしたが)
このときまでに言うまい、言うまいと我慢してきた考察があるので、そちらからお話していきたいと思います。
原作のお話になりますので、興味のない方は飛ばしていただければと思います。
バナナフィッシュとは何なのか?
出典:BANANA FISH/9月21日放送/フジテレビ
美しい夕焼けとともにアッシュと英二が距離を縮めたこちらのシーン。
実は原作では続きがあったのです。
「死について考えたことはあるか?」とアッシュは英二に切り出します。
その後以下のように話しました。
「キリマンジャロは高さ19710フィートの雪に覆われた山で…西側の頂はマサイ語で“神の家”と呼ばれている
この西側の頂上近く ひからびて凍りついた一頭の豹 が横たわっている」
「こんな高いところまで豹が何を求めてやってきたのか だれも説明したものはいない」別冊少女コミック「BANANA FISH」第8巻より
これはヘミングウェイの小説「キリマンジェロの雪」の一節だそうです。
来週のサブタイトルもキリマンジェロの雪ですので、このシーンが出てくるかとも考えましたが、この先の展開から考えるにきっと登場することはないと考えています。
アッシュは自分が命尽きる瞬間を思うとき、この豹について考えると言います。
そして英二にその思いを吐露した後に、「いずれにせよヤツは もう2度と戻れないことを知っていたに違いない」と締めくくります。
メタファーと言いますか、何を象徴してタイトルを「BANANA FISH」にしたのだろうと考えた際、この豹が一つの手がかりになるのではないかと考えています。
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そもそも「バナナフィッシュ」とは?
サリンジャーの小説に出てくることはすでに明かされていますが、一体どのような魚なのかストーリー中では詳しくは語られていませんでした。
以下は小説からの引用です。
「奴らはね、バナナがたくさん入ってる穴のなかに泳いでいくのさ。入ってくときは普通の見かけの魚なんだ。けどいったん入ると、もう豚みたいにふるまう。バナナの穴に入って、七十八本バナナを食べたバナナフィッシュを僕は知ってるよ」
D.J.サリンジャー・作 柴田元幸・訳「ナインストーリーズ」収録 「バナナフィッシュ日和」(ヴィレッジブックス)
(新潮社版のタイトルは「バナナフィッシュにうってつけの日」となっております)
そしてバナナフィッシュはバナナを食べすぎて穴から出られなくなり、バナナ熱という病気にかかってなくなると語られています。
読んではみましたが、「バナナフィッシュにうってつけの日」においてバナナフィッシュとは何なのかよくわかりませんでした。
出典:BANANA FISH/7月6日放送/フジテレビ
ただBANANA FISHの世界で考えてみると、バナナは利権や有益なもので、それを追い求め貪る人間の姿こそがバナナフィッシュの正体なのかもしれません。
今回のストーリーで語られた、ディノと、キッパード上院議員、スマイルズ大統領補佐官の陰謀はまさに「バナナ」と呼べるものではないでしょうか。
薬物・バナナフィッシュをめぐる企ては物語が始まった時点で、すでに後戻りできない段階にきていたのかもしれません。
全く違う小説で、全く違う表現で登場するバナナフィッシュと豹ですが、「二度ともどれないところまできてしまった点」が共通しています。
そしてまた登場人物たちも、後戻りできないところまできている人が多いように感じます。
個人的な考えではありますが、BANANA FISHとは、戻れなくなった人たちの物語なのではないでしょうか。
アッシュというバナナフィッシュ
出典:BANANA FISH/9月21日放送/フジテレビ
英二との口論の中でアッシュは、「才能なんてそんなもの、ほしいと思ったことなんて一度だってない」と言い放っています。
美しい容姿、優れた頭脳、正確な射撃スキル、他者から見れば「バナナ」に見えるそれらもアッシュにとっては欲しくもない、食べたくもないものだったのでしょう。
ディノに才能を見出され、磨かれてきた彼の半生を思うと、アッシュ自身はバナナの穴に自ら入ったというよりは、そこに閉じ込められた魚なんじゃないかと思います。
そして生き延びるためにバナナをたべるしかなかった(=与えられた才能を自分のものとして受け入れるしかなかった)のかもしれません。
そうして出ようと、穴から出るだけの力を得たときには「バナナフィッシュ」をめぐる陰謀に気づいてしまい、出られなくなったのがアッシュというバナナフィッシュなんじゃないかと個人的には思います。
そう考えていくと、さまよいながら時に生きるために牙をむき、後戻りできなくなった豹はアッシュとよく似ているようにさえ感じます。
決戦の舞台・ニューヨーク!
今回のストーリーではニューヨークの様々な地名や場所が出てきましたね。
物語の舞台がどんな場所なのか整理するために、ニューヨークについてお話していきたいと思います。
ニューヨーク市には大きく分けてマンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス、スタテンアイランドの5つのエリアが存在しています。
今回は物語の中心でもあるマンハッタンに限定して様々な場所を紹介していきたいと思います。
マンハッタンとは?
タイムズスクエアやウォール街など観光スポットのほとんどが集中している地域。
ハドソン川に浮かぶ半島で、北からアッパー・マンハッタン(アップタウン)、ミッドタウン、ダウンタウンの3つの地区が存在します。
地図はこちらがわかりやすいかと思いますので、参考にご覧ください。
アッシュのホーム ロウアー・イースト・サイド
出典:BANANA FISH/7月6日放送/フジテレビ
バナナフィッシュを手にした男がアッシュの仲間に襲われた、物語の始まりともいえるエリアです。
ダウンタウンの東に位置し、チャイナタウンやリトルイタリーもほど近い場所にあります。
オーサーもここを拠点にしていたのでしょう。
彼らを混乱させ、戦力をバラバラにできたことをアッシュの仲間もうれしそうにはなしていました。
黒人街 ハーレム
出典:BANANA FISH/9月21日放送/フジテレビ
新しく登場した、ケインが拠点としているアップタウンのエリア。
奴隷解放宣言がなされた後に、アフリカ系アメリカ人が移住するようになり、ヒップホップなどの文化が花開いた場所でもあります。
現在でも黒人の居住やビジネスの中心になっている場所でもあります。
リンカーンの時代には奴隷撤廃派が多かった北部ではありますが、未だに(黒人に限らず)人種差別が残っている部分もありますので、白人をはじめ他人種に良くない感情を抱く住民も少なくはないようです。
「引きさいてやりたくなる」というのは比喩でもなんでもないのかもしれません。
ちなみにケインのチーム「ブラックサバス」ですが、イングランドで同名のバンドが昨年まで活動をしていました。
50年以上活動した伝説的なバンドで、同名のホラー映画に長蛇の列ができているのを見たメンバーが「人は恐怖を求める」という着想を得てつけた名前とのこと。
5枚目のアルバムタイトルが「血まみれの安息日(Sabbath Bloody Sabbath)」であり、黒い魔王、血まみれケインという人物像はこのバンドからできたのではないかと考えられます。
新たな拠点の高級マンションがある59丁目
マンハッタンの道路は碁盤の目のようになっていて、その横をストリート(~丁目)、縦をアベニュー(~番街)と呼びます。
59丁目はセントラルパークの南端のストリートで、高級住宅地として知られています。
世界的に有名なプラザホテルや、リッツカールトンも存在するセレブが集まる場所でもあります。
リンクスが新しい拠点としているマンションの価格は800万ドルですが、日本円にしておよそ9億円の超高級物件です。
六本木ヒルズにあるマンションの最上階に匹敵する価格です。
ディノから拝借したお金の一部だけでこれだけ大きな金額になるのですから、マフィアのボスも侮れませんね!
アッシュが通ったニューヨーク公共図書館本館
出典:BANANA FISH/9月21日放送/フジテレビ
ミッドタウンにあるブライアント・パークの隣にある図書館で、年間180万人が利用するといわれています。
アッシュが本を読んでいたのは、3階にあるローズ・メイン・リーディングルームと呼ばれる場所です。
オーク材の長テーブルや天井から吊り下げられた巨大なシャンデリアが特徴で、静かで落ち着いた雰囲気を醸し出しています。
番外編・2人が夕暮れのマンハッタンを眺めた場所
出典:BANANA FISH/9月21日放送/フジテレビ
図書館の後2人がマンハッタンの街を眺めた場所ですが、ハドソン川をはさんだ対岸のニュージャージー州だと思われます。
エクスチェンジ・プレイス駅のすぐそばには911メモリアルがあり、かつてはツインタワーを臨む場所でもありました。
おそらくアッシュと英二はこの辺りからマンハッタンの摩天楼を眺めたのではないかと思われます。
BANANA FISH(アニメ)12話の感想
いよいよオーサーとアッシュの決着の日が近づいてきましたね。
個人的にはオーサーが憎めませんので、次回の展開を非常に楽しみにしています。
しかし、来週はBANANA FISHお休みなんですね。
非常に残念ではありますが、原作を読んで待ちたいと思います。
今回メタファーとしてのバナナフィッシュについて考察しましたが、実は1話始まる前からあたためていたネタでして、カットされてどうしようかと思いましたがせっかくなので書かせていただきました。
その他
(オーサーについては次回語りつくしたいです)
アッシュがほんとうに好きになった子
出典:BANANA FISH/9月21日放送/フジテレビ
今週のストーリーは本当にあらゆる考察の余地が残されていたように感じます。
アッシュがほんとうに好きになった子の正体や、それをなぜ英二に話したかなど、考えても考えても、答えの出ない問いが話の中にちりばめられていたように思います。
アッシュが好きになった子については原作にも答えが書いてないですし、謎のままの方がいいのかなと思いますので、考察を差し控えさせていただきます。
そして、それを英二に話した理由ですが、英二と同じように、アッシュも彼を特別な友人だと思っているということでしょう。
ニューヨークに戻ってから、アッシュは様々な弱点や、自分の弱さを英二にさらしてきました。
(かぼちゃが怖いだとか、側にいてほしいだとか)
多分アッシュに残された最後の弱さが、彼女を守ってあげられなかったことなのかもしれません。
英二を大切に思うからこそ、最後の弱さも語ったのではないかと思っています。
アッシュが「自由」と言いながら求めているのは、おそらく半永久的にボスを休業した「普通」の生活なのだと思います。
命を奪われる心配もなく、己の尊厳を脅かされることもない、普通の友達と普通に過ごし、大切な人を愛し、愛情を受け取る生活。
彼女が(おそらくアッシュが原因の一端で)なくなってしまったことで、それは叶わないと諦めていることを英二にも知ってほしかったのかもしれません。
その上で、ほんのつかの間の愛情をありがとうという意味で話したのかもしれませんし、それを胸に生きていくという決意を秘めていたのかもしれませんが、この辺りは考えても堂々巡りになってしまいます。
(英二が日本に戻る前夜でしたので、アッシュとしてはもう2度と会えないと思いながら話したのではないかと思っています)
ただ、どのような形であれ、好意があるから受け入れてほしいと思っているのだとしたら、アッシュは意外と子どもっぽいと言いますか、やはり受け入れようとする英二のほうがお兄さんなんだなと思ってしまいます。
読んでくださっている方へ 御礼
今回でアニメBANANA FISHは折り返し地点にやってきました。
実は私自身、こんなに長いこと同じアニメを担当したのははじめてでして、ひとえに皆様のおかげだと感じております。
これまでアッシュという少年の悲しい運命がストーリーの中心で、前回からその運命から脱却すべく本格的な戦いがはじまりました。
アッシュがどのように戦い、どのように運命を克服していくのか、また彼の背負った運命の意味について今後も考えていきたいと思っています。
同時にBANANA FISHは英二の物語でもありますから、英二から見たアッシュや、他の人物からみた英二をもっともっと掘り下げて、BANANA FISHの世界を楽しんでいただくために尽力したいと思います。
皆様の知りたいこと、もっと考察を深めてほしい部分等ありましたら、コメントをいただけますと幸いです。
コメント
毎回楽しく読ませてもらってます!
冒頭に書かれていた「キリマンジャロの雪」は、13話でやるみたいです。
13話のサブタイトルが「キリマンジャロの雪」でした(公式サイトより)
匿名様
コメントありがとうございます。
そして、返信がおそくなってしまい、大変申し訳ございませんでした。
13話見ました。キリマンジェロの雪やってくれて本当にうれしかったです。
「そして君は豹じゃない」という言葉にアッシュがどれだけ救われたのかと思うと、やはりどうしても入れてほしいエピソードでしたので、いろいろな意味で号泣してしまいました。
いよいよ折り返し地点にきたBANANA FISHですが、最後までご一緒に楽しめれば幸いでございます。
ロケ地や時代背景など、深い考察でとてもためになります!
特に、キリマンジャロの話をした所がニュージャージーだと検証して下さり、ありがとうございます。この場所に行ってみたかったので大変参考になりました。
アッシュが今回好きだった子の話をしたのは、私的見解ですが英二への別れの言葉だったように思います。
好きだった子の事は単に前フリで、次に続く『まともな世界の人間と付き合う事は、もう周りが許してくれない』を言いたかったのではないか、と思っています。
大切な人が標的にされ、殺される世界である事。
そして英二を同じ目に合わせたくないから日本に返す。
数時間後に控えたオーサーとの対決を英二に言うと帰国しないから、はっきりと別れ話は出来ない。
でもアッシュの中ではもう英二との最後の会話だから、
「ギャングと堅気は一緒にはいられない。」という英二と別れる理由を述べた。
…と思います。
この時のアッシュは、数時間後に死を覚悟してオーサーが卑怯な手で来る事を承知で決闘を控えていた。
ショーターの仇を討つために。
アッシュが決闘の前に死の準備をしているのが悲しいです。
マックスに、もし自分が死んでもバナナフィッシュの解明を続けるよう託した。
英二と伊部を日本に帰す手配もした。
アッシュが、ショーターをおもちゃにして殺させたディノとオーサーに、復讐の鬼となり容赦無い殺戮をしたのは、死を覚悟でオーサーに仇を討つためでしたが、英二に説教されてしまう。謝りに来た英二にキリマンジャロの話しをしたのも、アッシュが死を身近に感じているから。