TVアニメ「レヱル・ロマネスク」は、楽しんで見られましたか。
12話で最終回を迎えたレヱル・ロマネスクですが、まだまだ彼女たちの道は続き、2期もあるんじゃないかと思っているジャム君です。
だって、まいてつ Last Run!!は好評ですし、レヱル・ロマネスクの後日談を収録している蓄音レヱルも好評ですし、関連商品たちが盛り上がっていますからね。
レヱル・ロマネスクで行われたレイルロオドサミットですが、ハチロクの代行として進行役を努めたすずしろが中心となって進めていた「グッズ製作」も、仮に現実のものとなれば、相当な利益を各路線にもたらしたことでしょう。
ジャム君が聖地巡礼の一つとして、すずしろの乗務するC12 67のモデルとなった真岡鐵道の機関車に、乗りに行っちゃうくらいですから。
前置きはこれくらいにして、レヱル・ロマネスクの1話から最終回の12話まで、一気に振り返りながら、「レイルロオドサミット」にどんな意味があったのかも考えながら、この記事を進めていきましょう。
それでは皆さん、出発進行!
序章 レヱル・ロマネスク1話・2話
レヱル・ロマネスク1話と2話は、9人のレイルロオドが集まった(集められた)レイルロオドサミットの序章にあたるお話でした。
ここで、本来はハチロクとれいなの2人が来るはずだったのに、急遽呼び出した張本人のハチロクからすずしろへ、進行役の役どころが回ってきたことも判明しています。
また、レイルロオドサミット開催に向けて、レイルロオドどうしの親睦会も開いていましたね。
ハチロクとれいなが来られなかった本当の理由
ハチロクとれいなが来られなかった理由は、「人間の会議に参加することになったため」です。
出典:レヱル・ロマネスク
このビデオメッセージで、議事進行役をすずしろに委託したことが明かされています。
レヱル・ロマネスク1話の冒頭に出てきた、ハチロクからすずしろへの電話は、すずしろに議事進行役をお願いするために連絡してきたと考えるのが筋でしょうか。
ただ!
「急遽」人間の皆さんの会議に参加することになったため、レイルロオドサミットの議事進行役をすずしろに委託した、という点にはやや疑問が残ります。
ハチロクたちの住んでいる御一夜で行われている集会なのですし、レイルロオドたちに呼びかけて招集したのもハチロクなのですから、よほどの急用でなければハチロクのマスターである双鉄は、ハチロクたちの意思を優先することでしょう。
ハチロクの現所有者でありマスターとなった、右田双鉄のこと。
レヱル・ロマネスクには一切出てこなかったため、詳細はまいてつ Last Run!!を参照。
ムリに会議に参加せるようなまねは、決してしないやつですから、双鉄は。
それを考えると、「人間の会議に参加することになったため」というのは表面上の理由なだけで、実際には「レイルロオドサミットで自ら答えを探せ」という理由のため、あえて直前になって行けないことにして、すずしろに議事進行役を任せたと考えられます。
プラスのスパイラル
レヱル・ロマネスク2話では、1話よりも具体的に「なにをして」いくのか、すずしろから話がなされていました。
その中で、ランが「プラスのスパイラル」と評していたのがこれです。
出典:レヱル・ロマネスク
- 魅力的なグッズを開発・販売
- 集客効果→乗客増加
- グッズ売上増加
- 更なるグッズの開発・販売へ
4まで来たら2に戻り、集客効果を高め続ける、まさにプラスのスパイラル、ということでしょう。
正直、絵に描いた餅で、ハチロクたちが成功を収めた御一夜鉄道同様に成功することすら難しく、その上でプラスのスパイラルを描くのは、大廃線時代を迎え廃線の危機にさらされている鉄道分野では、難しいように思えます。
エアクラ主流となり、観光の一つとして集客効果を高めることはできるかもしれませんが、市民の足としての地位を取り戻すことは難しく、観光の目玉コースになっても「鉄道が魅力的」と思わせられなければ、観光客が来なくて近い未来に廃線でしょう。
3話以降に出てくる、レイルロオドたちが考案したグッズがいかに魅力的で現地でしか買えないとしても、「鉄道自体に魅力がなく、その地に別の観光名所もなにもない」ようなところに、旅行しようと思いますか?
ジャム君なら、同じ旅費を使うなら、もっと現地に行って楽しめる場所の方に行きたいですね。
それを考えると、レヱル・ロマネスクの尺として難しかったのかもしれませんが、「グッズ開発」をするだけでは足りず、もっと地域と一体となり、観光資源を活用するよう相互努力するのが先な気がします。
取り込むべきは「鉄道」にそこまで興味のない層
ランが言う「プラスのスパイラル」もあるでしょうが、本来取り込むべきは「鉄道」にそこまで興味のない層です。
こう言っちゃ聞こえは悪いですが、もともと鉄道ファンならば、放っておいても客として乗りに来ます。
レイルロオドサミットを開催して、グッズ製作をするまでもないでしょう。
出典:レヱル・ロマネスク
鉄道ファンをリピートさせるためにも一役は買うでしょうが、もともと鉄道にそこまで興味のない人たちからすれば、グッズが増えた程度じゃ動きません。
そうですね。たとえば、あなたが見ていないアニメを想像してみてください。
アニメは好きだけど、そのアニメは見ていない。そんなアニメで、新しいグッズが販売されることになりました。
さて、あなたはそのグッズを買いますか? アニメを見ようと思いますか?
大げさに置き換えてみると、こんな話です。
「買わないし、アニメを見ない」人のほうが、多いのではないでしょうか。
それと同じ理屈で、大廃線時代を迎え、人々はエアクラに乗って鉄道より便利な交通手段を得て、生活をしています。
グッズ製作だけでは、鉄道ファンのリピートがあっても、そこまで興味のない人たち(大多数)を呼び寄せることが難しいですので、やはりグッズ製作だけに頼り切らず「現地住人たちと観光資源の相互活用」を推進するのが得策で、来場者を増やす効果も見込みやすいことでしょう。
実際、御一夜で成功を収めた御一夜鉄道は、現地住民たちと大きな信頼関係を結ぶことで技術援助もしてもらえましたし、御一夜鉄道を助けた側も8620目当ての客を中心に観光客を取り戻すことに成功(クマ川下りとか)していますし、観光資源の相互活用は大切です。
分科会「小型蒸気組」 レヱル・ロマネスク3話・4話
分科会の小型蒸気組に分けられたのが、「いよ」と「りいこ」です。
「~ぞなもし」の方言で、一躍人気急上昇している「いよ」と、虫好きすぎる「りいこ」コンビですね。
「小型蒸気組」と分類されているとおり、乗務している列車が小型蒸気機関車というわけであり、レイルロオド本体が小型というわけではありません。
「ぞなもし」とは
いよが使っている方言の「~ぞなもし」とは、いよが属する中予地方の方言(伊予弁)で、疑問形の問いかけや呼びかけに使われることが多い言葉です。
また、疑問形ではなく、標準語で「です、ます」の意味を持つ言葉を「ぞなもし」と言い換えることもあります。
たとえば、標準語で「頑張るぞ(頑張ります)」を伊予弁にすると「頑張るぞなもし」になるわけです。
出典:レヱル・ロマネスク
そういえば、コテコテの方言を使っているのって、いよくらいでしたっけ?
それがまた、可愛くもあるんですけれどもね。
虫博士 りいこ
虫の話になると目を輝かせるわ、分科会の途中でも虫探しに行こうとするわ、虫好きが強調されていたりいこ。
出典:レヱル・ロマネスク
迷い込んできたルリハムシについて熱く語っていましたが、いよは虫嫌いで、相当騒いでいましたよね。
これらの虫たちですが、りいこの虫知識のソースは、進行豹先生です。
レヱル・ロマネスクの原案・シリーズ構成が「進行豹」となっているとおり、まいてつのシナリオライターである進行豹先生が大きく携われた現場だそうで、レヱル・ロマネスクのシナリオライターさんが上げてきた虫の表現で、あまりにもレアじゃないものだったら、相談した上でレアリティを上げていったということを語っていましたね。
分科会「気動車組」 レヱル・ロマネスク5話・6話
分科会の気動車組に分けられたのが、「紅」と「汽子」です。
れいなに競争心を燃やしていた紅と、最年長の汽子とのコンビは、なんだか親子みたいな感じ。
実際、レイルロオド的な年齢で言ったら、親子どころか2世代離れていてもおかしくなさそうですけれどもね。
すずしろの甘えたがりは演技か本心か
汽子から妹みたいなものだから緊張せず、甘えてくれてもいいと言われているすずしろと紅でしたが、すずしろは「マジですか」と甘える表明をしていました。
\じゃあ甘えますよ、遠慮なく/
出典:レヱル・ロマネスク
ジャム君としては、すずしろは本当に甘える気などなく、円滑に分科会を進行するため、また女優として演技をしていただけと思っています。
なぜそう思うかと言うと、蓄音レヱルのすずしろがマスターに“だけ”素顔を見せ、甘えているからです。
レイルロオドサミットでも、すずしろは女優の仮面で議事進行役をこなしただけで、ほとんど本心で物事を語ってはいなかったのでしょう。
レイルロオドには「共感」もありますが、共感でも本当に上っ面だけで、すずしろが本心を見せることはほぼなかったのがレヱル・ロマネスクな気もします。
グッズのモデルになれなかったキハ100形キハ101
紅が乗務しているのは、肥颯みかん鉄道のキハ100形キハ101ですが、キハ101だとガラスを使っている部品が少なく、グッズのモデルには向いていませんでした。
そこで登場したのが、同じ肥颯みかん鉄道で動いている蒸気機関車のC56 99(シゴロク キューキュー)です。
出典:レヱル・ロマネスク
名産品が名産品だけに仕方のない部分だったのでしょうが、紅自身が乗務していて思い入れも深いであろうキハ101でなく、C56 99をモデルにグッズ製作のアイディアを出すあたり、紅は意外とのちに成功するタイプな気がします。
どうせならば、自分が乗務しているキハ101がモデルだったほうが嬉しかったでしょうに、汽子からの助言で欲を出さずC56 99をモデルに舵を切るなんて、れいなよりも将来的に成功するかも?
分科会「旧帝鉄組」 レヱル・ロマネスク7話・8話
分科会の旧帝鉄組に分けられたのが、「ラン」と「しろがね」です。
最初は照れ気味だったしろがねなのに、ランと過ごしている間に、すっかり百合っぽく育ってしまって……
ランもしろがねも、そっちの属性だったのかと、ツッコミを入れたくなるようなコンビでしたね。
8620は動いていたのか?
分科会が始まる前に御一夜市の観光を済ませてきたランとすずしろでしたが、転車台などと一緒に見てきたのが、ハチロクが乗務する8620です。
出典:レヱル・ロマネスク
ハチロクは人間の会議に参加するということでしたので乗務していないはずなのですが、ランとしろがねは、動いているところを見てきたのでしょうか。
それとも整備しているところだけ?
8620が走っていたとなると、ハチロクが乗務せずに走っていたか、実はハチロクが乗務していたのでランとしろがねに見つからないよう隠れ、共感も閉ざしていたことになるでしょう。
整備区内を走っていただけ、整備しているところだけを見てきたのであれば、駅舎のようなものが見えるところに、わざわざ出てこない気がします。
となると、実はレイルロオドサミットに参加できないと嘘をついたハチロクが乗務しており、ランとしろがねからは隠れていた可能性も秘めているシーンに思えてきますね。
カバンのポケットにチョコレート
しろがねが「すぐ使うと思った」と言って、カバンをガサゴソ、ポケットの中から取り出したのは、シリンダー型のチョコレートでした。
出典:レヱル・ロマネスク
チョコレートを裸の状態で入れてきたならば、しろがねのカバンのポケットは、チョコレートまみれになっていてもおかしくありませんね。
さすがに袋に入れていたなり、箱に入っていたなり、汚れないような状態で持ってきていてほしいものですが、そのあたりの描写はありませんでした。
ただ、のちのちポケットが汚れていて困ったといった話もありませんでしたので、チョコレートを直には入れてこなかったと信じたいところです。
分科会「電気組」 レヱル・ロマネスク9話・10話
分科会の最後、電気組に分けられたのが、「かかあ」と「西瓜」です。
かかあはおっとりお母さんタイプ、西瓜は勤勉留学生タイプみたいな感じでした。
基本的にはいいことを言っているのですが、ところどころ生々しい発言をするかかあは、業務に影響していないのか心配です。
お金の落とし方
かかあの生々しい発言トップに躍り出るであろう言葉が、分科会で言っていた「お金の落とし方」のくだりでしょう。
\お金を落としてもらえるかなーって/
出典:レヱル・ロマネスク
経営としても、分科会の成果としても、考え方は間違っていないのですが、発言が生々しい!
かかあは経営にも携わっていますので、そりゃそういう考えにもなることはわかるんですけどね。
見えていないだけで、外にそのお客がたまたまいて、音漏れしているかもしれませんし、もうちょっとオブラートに包んでほしかったなというシーンでもありました。
経営する上じゃ、なにも間違ってはいないんですけどねぇ……
終章 レヱル・ロマネスク11話・12話
レヱル・ロマネスクの11話と12話は、全員が集まり花手箱を作り、出来上がったものを持って解散、という流れ。
すずしろの下手な絵のドヤ顔も気になりましたが、明るい笑顔から一転、すずしろの暗い顔が印象的でもありました。
共感で伝わったのか、共感は閉ざしていたのか
レイルロオドサミットの議事進行役をしていた明るい笑顔から一転、すずしろが暗い顔になってしまいました。
\何年も何十年も過ぎ去ってしまう/
出典:レヱル・ロマネスク
「いつかまたと思っているうちに、何年も何十年も過ぎ去ってしまう」というのは、レイルロオドとしては本当に「よくある話」なんでしょう。
ご近所を走るレイルロオドならともかく、日ノ本各地を走り回るレイルロオドがこうして集まっていたのですから、日々の業務が忙しく、会えないなんて日常茶飯事。
すずしろの場合、レイルロオドとして乗務するだけでなく、女優業もありますから、より自分だけの時間を取って再会することが難しいのでしょう。
そんなすずしろの気持ちをくんでか、待っていたのか、ほかのレイルロオドたちが外で待っていたのは感動的でしたね。
出典:レヱル・ロマネスク
共感ですずしろの気持ちを受け取ったのかとも思いましたが、うっかりしない限りは、共感でも「知られたくないこと」が伝わることはありませんので、すずしろがどう思っていても、みんな外で待っていてくれたと思われます。
共感は閉ざすまでもなく、開いていたでしょうが、伝えたくない本心までは伝わらないよう制御していたと考えられます。
レヱル・ロマネスク1話~12話(最終回)の感想
レヱル・ロマネスクの12話最終回まで見て思ったのが、やはり「すずしろは女優」ということでしょうか。
見事に、レイルロオドサミット議事進行という役をこなしてみせました。
進行役の役者ですので笑顔で接しますし、話に乗るときには乗りますし、盛り上げ方が上手ですよね。
女優の顔で乗り切れると思ったからこそ、ハチロクもすずしろに議事進行役を急にお願いしたように思えます。
ただ、レイルロオドサミット開催の意味を考えていくと、すずしろだけ大してほかのレイルロオドたちと仲良くもなれず、暗い顔をしなければならないほど、「すずしろ側」からは思ったような成果が出なかったようにも見えます。
「出発進行」で締めくくり、笑顔も戻っていたすずしろでしたが、本心は2期が来てくれないとわかりませんね。
後日談ならば、蓄音レヱルで聴けますけど。
なんだか、すずしろだけ「不幸」とまでは言いませんけど、交友関係もあまり深められず、かわいそうな感じ。
あのあとどこかに観光へ行って、十分に満足して帰っていてほしいですね。
コメント
私はハチロクに対して、LRで追加された描写によってようやく「血が通いきった」と感じたのですが、
すずしろに対しても、畜音まで聞いて同様にそう感じました。
たとえどんな形だろうと、まいてつの世界がこれからも広がり続けることを願うばかりです。
レイルロオドたちの道は途絶えず、まだまだ続くことからも「出発進行」と言っていましたし、蓄音レヱルも聴けば、より素顔に近づけるはずですよね。
廃線が避けられないかもしれませんし、すずしろなんて女優業一本で生きていくレアなレイルロオドになってしまうかもしれませんが、それぞれのキャラが納得できる幸せな終着駅が設定されていれば喜ばしいです。