春巻きでも麻婆豆腐でもシュウマイでもない、ショーターのチャイニーズ・ランチの正体は何だったのか…?(5話予告動画より)
みなさまこんにちは。
最近は
先週はお休みをいただきましてありがとうございます。
お休みしている間、ちまちま進めていた千銃士でドライゼがやっと絶対高貴できるようになりました。
アニメより遅くなるとは、やっとの思いでドライゼ☆5を手に入れたときには思っていませんでした。
さて、BANANA FISH3話では刑務所でのアッシュとマックスの出会いが描かれ、いよいよ役者がそろってきました。
4話では悲しい別れがあり、5話ではアッシュがディノに先制攻撃をしかけ、内容盛りだくさんでした。
私生活の多忙はまだまだ続いておりますが、今週も元気にBANANA FISHを語っていきたいと思います。
アッシュの目的・再考
前回の記事ではアッシュが英二を通じてショーターを頼んだのは、「ショーターを自分の味方につけるためではないか」とお話ししましたが、大きな誤りでした。
まずは、このような考察を記事にしてしまったことに対して謝罪をしなければなりません。
原作にもしっかりと描かれていたにも関わらず、誤った解釈をしてしまったことにつきまして、申し訳なく思うのと同時に、ライターとして非常にお恥ずかしい限りです。
また、さらに深い考察をしていくために原作を自分の血肉となるほど読み込んでいく所存です。
どこに誤りがあったか具体的に申し上げますと、「アッシュはディノとのことは自分の問題として片づけることにこだわっていた」のにも関わらず、「ショーターを頼ろうとした」と解釈した点です。
出典:BANANA FISH/8月3日放送/フジテレビ
5話でショーターと再会したアッシュは「手を引いてくれショーター。これは俺一人でカタをつける」と話しました。
その後も、自分一人で解決することにこだわり続けていました。
アッシュは誰かと共同戦線をしいて対決しようとしたのではなく、「とにかく兄を安全な場所にかくまいたい」一心で英二にメッセージを託していたのだと考えられます。
サブタイトル考察・2
楽園のこちら側
4話タイトルに採用された「楽園のこちら側(原題:This Side of Paradise)」は、2013年に映画化された「華麗なるギャッツビー」の原作者で知られる、フィッツジェラルドのデビュー作です。
こちらもストーリーを象徴する内容だったと思いましたので、ご紹介させていただきます。
主人公はミネソタ州出身の男性で、寄宿学校、大学ともに華々しい学生生活を送っていました。
その中で出会った司教を父のように慕います。
彼は物語の終盤で、第一次世界大戦や司教がなくなったことをきっかけに宗教を疑問視し、新たな価値観を模索するようになります。
4話中のアッシュも、精神的な支えであったグリフをなくしています。
おそらくこれから新たな出会いを繰り返す中で価値観を再構築していくアッシュを象徴してこの作品を選んだのだと思われます。
(「楽園のこちら側」では主人公と女性たちの恋愛にもウエイトがおかれていますので、彼の苦悩は精神的支柱をなくしたことだけではないようです)
編集者・パーキンズ
残念ながら、5話サブタイトル「死より朝へ」についてはあらすじがわからなかったため、考察ができませんでした。
しかし、調査の中で、ヘミングウェイ(2話・3話)、フィッツジェラルド(4話)、そして「死より朝へ」を執筆したトマス・ウルフの陰には名編集者・パーキンズの存在があることがわかりました。
パーキンズは常に彼らに寄り添うことで作家を育ててきました。
フィッツジェラルドが華麗なるギャツビーを出版した際にも、作品の偉大さを信じ、彼に励ましの手紙を送りつづけました。
また、フィッツジェラルド夫妻の新婚旅行の際には金を無心したりもしています。
トマス・ウルフとパーキンズの交流はとくに深いもので、『ベストセラー編集者パーキンズに捧ぐ』というタイトルで映画化もされています。
トマス・ウルフは自身の経験を作中に色濃く出す傾向があり、パーキンズがモデルの登場人物を「精神上の父」と記述しています。
パーキンズも普段は公私を分けるタイプなのですが、トマス・ウルフだけは家に呼び会食を楽しみました。
一旦は決別をする2人ですが、トマス・ウルフはパーキンズを遺言執行者に指名して、最後まで慕い続けました。
時として理解されない作家たちによりそい続け、「よき理解者」であり続けたパーキンズ。
この関係はアッシュと英二をイメージしたものなのでしょうか。
出典:BANANA FISH/8月3日放送/フジテレビ
5話でも車から引きずり出されそうになったアッシュを見て、英二はいち早く彼の決意を察して助けています。
こういった姿を見ていると、サブタイトルに選ばれた作家たちは偶然ではないように思えてきます。
グリフが軍隊に入った理由
アッシュとマックスの会話を聞く限り、グリフは詩を愛する心優しい青年であることがわかります。
そんな彼がなぜ幼いアッシュを残して軍隊に入り、イラクに行ったのでしょうか。
アメリカ軍についてみていきながら、考えていきたいと思います。
アメリカ海兵隊とは
アッシュとのケンカの際、マックスは「元海兵隊をなめるなよ!」と言っています。
このセリフから、マックスとグリフは海兵隊に所属していたことがわかります。
海兵隊とはアメリカ海軍とは異なる組織です。
海外での武力行使を前提として、必要に応じて水上だけでなく、上陸作戦もこなす部隊。
他の軍組織と違い、本土の防衛が任務に含まれない、ある意味戦争のための組織といえます。
そのためアメリカ軍が参加する主な戦闘には最前線に投入されて作戦を遂行していきます。
マックスは最前線で幾度となく
アメリカ軍は志願制?
ベトナム戦争時は、アメリカ軍は選抜徴兵制を採用していました。
選抜徴兵制とは、18歳から25歳の男性を対象に、年齢・家族状況・職業などによって順番をつけ、その順で徴兵していく制度です。
ベトナム戦争の和平協定成立時に停止されていますが、今でも名簿への登録が義務付けられ、怠った場合には罰則もあります。
このように徴兵制度を残してはいますが、事実上は志願制です。
どのような人が志願するのかと言いますと、純粋に軍人を志す人はもちろん、貧困層や、経済的な事情で大学に行けない若者、アメリカの市民権を得たい移民などもいます。
軍に従事すれば、給料が支払われるのはもちろん、入隊している間は衣食住が保障され、条件はあるものの除隊後に奨学金を得られます。
またこちらも入隊後一定条件を満たすとアメリカの市民権を得ることもできるため、いわゆる低所得層が集まりやすくなっています。
このことをふまえた上で、なぜグリフは軍人になったのか考えてみたいと思います。
出典:BANANA FISH/7月27日放送/フジテレビ
まず、大前提に貧困があったのは間違いないと思われます。
アッシュは「オレは兄貴に育ててもらったんだ。」と語っています。
ここから親からの支援はあまり得られず、兄弟二人で暮らしていたことを察することができます。
若いグリフが田舎町でどのような仕事に就いていたかはわかりませんが、おそらく幼いアッシュを立派に育てるのは難しかったのでしょう。
アメリカ軍では従事中に教育プログラムを受けることもできます。
こうした制度を利用して、除隊後のステップアップを考えていたのかもしれません。
グリフがイラクで見たもの
前回の記事で、スティーブン・トムソンがイラク派遣された時期から、マックスやグリフがイラクにいたのは2006年前後と予想しました。
マックスの回想で、爆撃機や戦車が映し出されていましたが、それがマックスの記憶と一致するかは疑問を感じるところがあります。
出典:BANANA FISH/7月27日放送/フジテレビ
イラク戦争は2003年5月に大規模戦闘終了宣言がなされています。
2006年当時は旧政府の残党への攻撃や、反米組織からの自衛が主なところだったと思われますので、戦車等を使っての大規模攻撃はあったのか、歴史だけをみると疑わしいところだと感じています。
(調査に十分な時間を割いていないので、確定的な事実ではありませんが)
その代わり無差別テロや宗教抗争が活発な時期でもありました。
グリフは街中で同じ神を信じる人たちが争う姿、それによって失われていく建物、小さな子どもが爆弾を抱えて自分たちに飛び込んでくる姿など悲惨な光景を目にしてきたのでしょう。
(女の子が抱えた人形の中には爆弾が仕込まれていたのかもしれない、と考えています。)
ベトナム戦争とは違う凄惨さがグリフの心を痛めてきたのは想像に難くありません。
英二が跳べなくなった理由
英二のけがはひどいものだったのか
原作では「けがをした」という程度しか語られてこなかった英二が選手でなくなったきっかけですが、アニメでは足関節の負傷であったことがわかりました。
出典:BANANA FISH/8月3日放送/フジテレビ
棒高跳びでは腰と同じくらい、あるいはそれ以上に足関節のトラブルが多いようです。
(多くのスポーツで足関節のけがが最も多いとされています)
英二のけがもいわゆる捻挫(靭帯損傷)だと思われますが、その程度はかなり重度のものだと想像できます。
実際に、ポール(棒高跳びの棒)のつっこみに失敗し、マットがないところに身体を飛ばされて靭帯損傷をした例もあります。
フィールド上に倒れていたことから、英二もこの類の事故だと思われます。
またその後、ギブスをした足が映し出されていますので、おそらく靭帯の一部、もしくは全部が切れてしまったのだと推測されます。
全部が切れてしまった場合ですと、復帰までに1年近くかかる場合もありますが、英二はまだ19歳で再び競技をしようとする姿も見られましたので、おそらく部分断裂だったのでしょう。
一番の理由は精神的なもの?
装具なしで競技に復帰しようとしていた姿から、けがそのものは完治して、後遺症もなかったのだと思われます。
それでも跳べなくなってしまったのは、精神的なものが大きいのだと予測されます。
大学スポーツの世界にはあまり明るくなく、資料も集められませんでしたので、推測ばかりになってしまいますが、英二には様々なプレッシャーがあったのだと考えています。
例えば、英二が棒高跳びで実績を残すと、それによって大学の知名度が上がり、次年度の志願者が増える可能性もあります。
大学にとってスポーツは宣伝手段の一つでもあるのです。
また英二は広告になりうる実力も持っていますから(もちろんそれだけが理由ではないと思いますが)、周りからはけがの状況や、復帰について聞かれていたことでしょう。
彼は「跳ばなきゃいけない」という義務感とともに「また失敗したら」という恐怖、「また跳べるのだろうか」という不安が渦巻いていたのだと思います。
そういった感情がストレスになり、跳べなくなってしまっているのかもしれません。
また、原作では伊部さんが英二に「自分がダメだなんて考えるな」「なぜ跳ぶのか考えろ」と声をかけています。
英二はなぜ跳ぶのか、あるいはなぜ跳ばないのか答えを見つけられずに中途半端な状態で競技から遠ざかっているから、アッシュとショーターに「途中で放り出すのはもうやめにしたいんだ」と言ったのではないでしょうか。
BANANA FISH(アニメ)4話と5話の感想
5話のラストシーン、一人で泣いているアッシュを見てハンカチを盛大に濡らしてしまいました。
彼にとってこれまでの話では別れが多すぎて、辛い展開が続いています。
来週からは英二、ショーター、伊部さん、マックスとの旅が始まりますね。
彼にとって新しい出会いが強い絆で結ばれるものでありますようにと、今後の展開を知っていても願わずにはいられません。
アニメ雑誌オトメディアの8月号にて、シリーズ構成の瀬古氏が「アッシュはファム・ファタール(運命の女・魔性の女)。バナナフィッシュを追っているけれど、本当は全員がアッシュを追っている」と言っていました。
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4話冒頭のオーサーや、
出典:BANANA FISH/7月27日放送/フジテレビ
5話のディノを見ていると、いよいよアッシュの魔性に取りつかれてきたな、と思ってしまいます。
出典:BANANA FISH/8月3日放送/フジテレビ
オーサーはアッシュに気にかけてほしいのに、コケにされてしまいます。
それがいつしか執着に変わって今のような関係になっているのかもしれません。
また、ディノも自分の手中にあると思えていた時は落ち着いていられたのに、側から離れると悟った瞬間に追いかけ始めているように見えます。
ガーベイもブルも、アッシュを求めたがために手に入らない。
それどころか、アッシュを自分のものにしたいと思っていないショーターや英二のもとに行ってしまいます。
アッシュを求める人は求めすぎてしまうのでしょう。
そういうところが、アッシュの悲劇なのかもしれないと、今回のストーリーでは感じました。
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