真面目なネタをやるとサブイボが出ることでおなじみ『アフリカのサラリーマン』。
アフリカのサラリーマン5話は就活だのコスト削減会議だの、まるでアフサラってサラリーマンが題材のアニメみたいでしたね。
私も大学生のサークルのノリで仕事したい。柴犬侍です。
前回4話ではメロン熊やリンゴウサギといったゆるふわキャラをはじめ、ふざけた量のパロネタをぶっこまれて若干めまいがしましたが、今回は控え目だったのでルンルンです。
その代わり、動物界における就活とかいう意味不明なテーマで一つ書く羽目になったので、ご笑覧ください。
モチーフ動物ポイント
最後にやったの何話だ?
当初はこれをアフサラ記事のメイン項目にしようみたいな構想だった気がするけど、人生何があるかわかりませんね。
久し振りなのでコーナー紹介からですが、こちらアフリカのサラリーマンに登場する動物たちのモチーフ動物を紹介し、アニメの中の実際の動物にちなむと考えられる描写をピックアップして解説していくというニッチな内容となっております。
今回は、アフサラ5話で初登場のライオンの同期カラカルと、役員の1人として登場したフクロウの2匹です。
だいぶ文量に差が出ちゃったけど、アニメの中の描写がそうだったから仕方あるない。
それでは、レッツゴー。
ライオンの同期・カラカル
アフリカ商事の社員で、ライオンの同期として登場のカラカル。
アフリカから西アジアにかけ、乾燥したサバンナ等に生息するネコ科の動物です。
就活してましたが、カラカルは基本的に単独行動を好みます。
足の裏の毛のおかげで音を消して歩くのが得意で、カメ社長をいじめる子供達の横をそろそろと通り過ぎようとしたのは、そういったカラカルの特徴を表現したものだったのかもしれません。ちょっと無理あるけど。
他にも自在に動く耳などが特徴なのですが、アニメでは特にこれといって描写されませんでした。
しかしながら、カラカルの特筆すべき特徴はもう1つあります。
それはジャンプ力ぅ……ですかね。
出典:アフリカのサラリーマン/11月4日放送/TOKYO MX
カラカルの好物は鳥なのですが、それをなんと3m以上も飛び上がって捕まえるのです。
同じネコ科かつジャンプ力で有名で、生息地も近いサーバルとのジャンプ対決なんてのも見てみたいところですが、向こうはなんと4mも飛び上がるそうだ。厳しそう。
そして、誠に残念ながらカラカルの紹介は以上で終わりです。
話したいことはまだあるので、再登場に期待です。ぐすん。
キザな役員・フクロウ
コスト削減会議に出席していたキザなフクロウ。
「空飛ぶ殺傷ハムスターなんているわけない」と言ったら他の役員や社長にまで証言され、それまでの威勢をなくし、シュッと細長くなっていました。
出典:アフリカのサラリーマン/11月4日放送/TOKYO MX
フクロウにはこのように、ストレスを感じると擬態のために身体や目を細長くする種類がおり、有名なものとしてアフリカオオコノハズクが挙げられます。
白い毛色にオレンジの大きな目が特徴のコノハズクで、アフサラ5話に出てきたフクロウと同じです。
生息地はもちろんアフリカ。アフリカなんですよ(興奮)
知的なイメージ
会議の席で「眠るときに数えるのはヒツジよりフクロウの方が知的でいい」という発言がありましたので、フクロウの知恵の象徴としてのイメージの出所がどこにあるかについてです。
ちなみに、眠れないときにはヒツジを数えるとよいという迷信の由来は、「sleep」と「sheep(ヒツジ)」が似てるから。それだけです。
で、本題のフクロウと知恵の結びつきですけど、これはローマ神話に出てくる知恵などを司る女神・ミネルヴァの使いのフクロウに由来しています。
ミネルヴァのフクロウといえば、ドイツの哲学者ヘーゲルの書いた『法の哲学』の序文「ミネルヴァのフクロウは迫り来る黄昏に飛び立つ」という言葉が有名。
哲学者特有のまどろっこしい言い回しですが、簡単に言えば「哲学は年をとってからの方がよくわかる」みたいな意味で、人生も終わりに近づいてから(黄昏)、ようやく知恵の女神のご
知恵の神という性格にあやかってか、ミネルヴァは色んな教育機関の紋章等に使用されていて、コロンビア大学の図書館前のミネルヴァ像などは有名でしょう。
ミネルヴァの源流とされるギリシャ神話の女神・アテナもフクロウを自身の聖獣としており、平和を象徴するオリーブと並んで、彼女のアトリビュート(芸術等で描かれている人物や神を特定するための持ち物)の1つ。
これにより例えば、ルーベンス作の絵画『パリスの審判(1636年)』について、これに描かれている3人の女は題材からしてアテナ・ヘーラー・アフロディーテの3柱の女神のはずなので、フクロウがそばに描かれている女がアテナとわかったりする。
他にも、古代ギリシャの銀貨テトラドラクマやデカドラクマには、表面にアテナ、裏面にフクロウが描かれたものがあります。
このように大昔からの知恵の女神との結びつきから、フクロウ=知恵というイメージが定着したと考えられています。
270°回る首
アフサラ5話の中で、フクロウが首を270°回せるという話が出てきました。これはご存じの方も多いと思いますが、本当です。
フクロウが首を回せる角度は正面から左右270°とされており、一方の我々は45°曲げられればいい方なので、なんとびっくり6倍もの差があるのです(当社比)。
これは首の骨の数、つまり
人間を含めた哺乳類の椎骨は、ネズミだろうとキリンだろうと共通して7個。
例外はマナティーとナマケモノの2種で、彼らは1つ少ない6個。
鳥類は哺乳類より多く、そして差が大きく、種類によって11-25個の開きがある。
最多はハクチョウの25個で、問題のフクロウは14個です。
コノハズクは小型フクロウのこと
さて、アフサラ5話で登場した役員のフクロウのモチーフは、アフリカオオコノハズクだろうとさっき言いました。
コノハズク? フクロウじゃなくて?
という疑問を覚える方もいると思うので付け加えますと、コノハズクというのは小型のフクロウのことです。
フクロウが全長50-62cmあるのに対し、コノハズクは16-19cmしかない。
「オオ」とついているアフリカオオコノハズクですら、半分以下の19-24cmとミニマムサイズ。
日本では愛知県の県鳥に指定されており、
コノハズクに関連して、ついでに余談を一つ。
世に鳴き声が「
しかし、どう聞いても「ゲッゲッ」としか聞こえず、声の出所が長らく不明だったところ、1936年のラジオ放送をキッカケに、鳴き声の主がコノハズクと確認されたという逸話がある。
一説には、別の鳥と勘違いされたことに怒って鳳来寺山から逃げてしまったとされ、NHK『みんなのうた』で2007年6-7月に放送された曲『鳳来寺山のブッポウソウ』ではこの逸話にちなみ、コノハズクの帰りを呼びかける内容が歌われていたりします。
なお、勘違いで名づけられたブッポウソウの方は、特に改名されることもなく変わらずブッポウソウのままで、今日も元気にゲッゲッと鳴いている。
動物界の「就活」
アフサラ5話は、カラカルたちの就活がお話のメインでした。
就活です。就活。
……これをどうしろと?
動物の世界の就活について書けと? 相変わらず無茶を言いなさる。
出典:アフリカのサラリーマン/11月4日放送/TOKYO MX
無茶ではありますが、よく考えると群れを離れて行動する動物ってのは特に珍しくありません。
彼らはもし群れの中へ戻りたくなったとき、どうしてるんだろう――
そういったインスピレーションから、この記事は始まったのです。
「群れ」の違い
まず、動物界のコミュニティー「群れ」には、大きく2種類ある。
魚の群れなどに見られる出たり入ったりを繰り返す集まりと、ライオンなどの仲間意識をもってそこに帰属している個体の集まりである。
人間でいえば前者は非正規のバイト、後者は正社員といったところか。
どちらも就活といえば就活なので、前者の例を提示した時点でこの話は終わりな気もするが、さすがにあんまりなので後者についても考える。
ライオンの「就活」
動物界にもフリーターはいる。
例えばライオンで、ライオンのオスは成長すると生まれた群れを離れ、単独で各地を放浪するようになる。これをはぐれライオン、ノマドという。
このとき、兄弟と連れ立って出ていくことが多いようで、一緒に狩りをしたりしながら暮らし、他の群れを見つけると戦いを挑み、その群れにいるオスをすべて追い出して群れを乗っ取るのだ。
基本的にライオンの群れはオスを受け入れないので、ライオンが群れをなすには他の群れを乗っ取るか、オスのいない群れに受け入れてもらうかなのである。
そして、見事に群れの乗っ取りに成功すると、新しいリーダーによって群れの中の他のオスの子はすべて殺される。いわゆる、「ライオンの子殺し」だ。
メスライオンは子供が独り立ちするまで発情しないので、そうしてメスの哺乳を止めて発情を促し、より強い群れを作っていくのである。
まさに、ディズニーの『ライオン・キング』の世界じゃないか。
プライド・ランドに君臨するムファサとスカーは兄弟だったし、ムファサは弟スカーの策略で王位を奪われ、その子シンバも危うく命を奪われかけた。
その後、ノマドとして放浪していたシンバはやがて成長し、王であるスカーに戦いを挑むのだ。
弱肉強食がサバンナの掟。これがライオン世界の「就活」だ。
とはいえ、これじゃ
サルの「就活」
ライオンもだし、オオカミやハチもそうだが、群れというのは基本的に血縁関係のある個体の集まりで、「よそ者」は入れない。
就活というからには、「よそ者」を受け入れる群れがないとお話にならない。
そんな群れが動物界にあるのかということだが、筆者の知るかぎり一つある。
それは、われわれ人間の祖先、サルである。
環境省によると、少なくともニホンザルは他の群れの個体を受け入れることがあるそうだ。
[参考]
https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort5/effort5-3a/saru20121213.pdf
ニホンザルのオスは、ライオンと同じく成長すると生まれた群れを離れ、1匹から数匹で行動するはぐれザルになる。
はぐれザルは、特に繁殖期になると他の群れの一員となるものの、数年もすれば出ていってしまい、生涯に渡ってあちこちの群れを転々とする。
サルの群れもご多分に漏れず「よそ者」には渋い反応をするというので、はぐれザルが上手く繁殖期に受け入れてもらえるかはわからない。
手土産か、素行か、体臭か。
何が決め手なのかはサルに聞いてほしいが、他の群れに入るために「自分磨き」が必要になると考えれば、サルのこれはまさしく「就活」といっていいだろう。
別種を受け入れる動物
まだ足りないって顔してる人。
まあわからなくもない。
なぜなら、ライオンもサルも所詮は同種だから受け入れているのであって、ライオンがサルの群れの中に入っているとかいう話ではないからだ。
とはいっても、そうした例は世界的にも少なくてねえ……
出典:アフリカのサラリーマン/11月4日放送/TOKYO MX
ただ、極めて稀な例として、異種族の子供を育てた事例自体はいくつか報告されている。
例えばタンザニアで、野生のメスライオンがヒョウの赤ちゃんに授乳しているところが目撃されているほか、イルカがクジラを3年間も「養子」として育てるという話もあれば、ヒツジの群れに紛れ込んで以来、自分をヒツジと思い込むようになったブタの事例もある。
だが問題は、これらに共通するのはいずれも子供で、成獣が群れに受け入れられるという話ではないということだ。
ブタにしても、受け入れられたというより既述のとおり紛れ込んだに近いんじゃないかと思う。
とはいえ、考えてもみてくれ。
人間だって、ヒトじゃない犬や猫を社員としては認めないわけじゃない?
動物は人間の大切なパートナーであったりはしても、人間と対等ってわけじゃない。
なので、サル同士のコミュニティーでサルがOKでライオンはダメっていうのも、それと同じということで一つ納得してもらえるとありがたい。
ということで結論としては、人間でいう就活のように「独立してから他のコミュニティーの一員として受け入れてもらう」といった行動は、少なくともニホンザルに確認できるといえる。
パロディの元ネタ
5話はこんだけ? 見逃したか……?
アフサラは3話も4話もやばい量があったのでつい疑ってしまうが、順調に感覚が麻痺してきてるようだな。
まあ、パロネタと気づくかどうかは筆者の裁量次第なので、見逃しの可能性は大いにある。
そのときは気軽に情報提供よろしくな!
情報提供はコメントから簡単にできるぞ!
車にはねられるオオハシ
遅刻しそうになって、食パンをくわえながら徒歩で通勤しているオオハシが、曲がり角で車に盛大にはねられて宙を舞うシーン。
出典:アフリカのサラリーマン/11月4日放送/TOKYO MX
元ネタは、アニメ『ゾンビランドサガ』の1話で、登校しようと家を出たときに主人公・源さくらがトラックにはねられるシーン。
右手側から突っ込まれるところをはじめ、直前が画面奥へ向かって走っていくアングルであることや、ふっとぶ瞬間を別カメから数回繰り返すところも一致。
さらに、その中の画面右上から突っ込んでくるカットや車内からのカット、最後にスローモーションで宙を舞い、それに合わせて曲が流れだすところも同じ。
ゾンサガでは目覚めると謎の洋館の中にいたが、オオハシは草原のド真ん中。変な場所で目覚めるところまでパロってるのかもしれない。
なお、遅刻しそうになって食パンをくわえながら家を出て、曲がり角で何かとぶつかるシーンは本作アフサラの1話でもやってたが、これには元ネタがありそうで「ない」というのが有力視されている。
アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の最終回がよく元ネタと言われるが、昭和からよく見られたとされているのに対して、エヴァは1995年の作品と新しい。
ふっ飛んだオオハシ
車にはねられ、窪みのできた路上で倒れているオオハシ。
出典:アフリカのサラリーマン/11月4日放送/TOKYO MX
元ネタは、漫画・アニメ『ドラゴンボール』で、ヤムチャがサイバイマンの自爆攻撃を受けて倒されたシーン。
ドラゴンボールのパロディとしてはド定番で、「ヤムチャ」だけで通じるレベル。
ヤムチャの倒れ方などに妙に味があるせいか昔から散々ネタにされたが、2015-18年に放送されたアニメ『ドラゴンボール超』の70話の野球回で、このシーンの倒れ方が公式にネタにされたことが話題になった。
夢の中の草原
車にはねられたオオハシが、気がつくといた草原。
出典:アフリカのサラリーマン/11月4日放送/TOKYO MX
元ネタは、マイクロソフトが2001年にリリースしたOS「Windows XP」のデフォルト壁紙「草原」。
丘の勾配、右の方にちらりと山が見えているところが一致。
インストールしたら最初にでかでかと表示される上、XPは普及率も高く印象に残ってる人が多いのか、色んなところでパロディを見かける。
ちなみに、撮影場所はカリフォルニア州にあるソノマ・ヴァレー。
神のような仏
夢の中の草原で、オオハシの前に現れた3人の自称「神」。
出典:アフリカのサラリーマン/11月4日放送/TOKYO MX
見た目はキリスト教的だが、手の形は仏教に由来する。
1人目は合掌、2人目は右手を上げて左手の指で丸を作り、3人目は指でフレームを作っている。
2人目に注目だが、仏像などに見られる特徴的な指の形を
で、左の神はというと、右手で
これはそれぞれ「心配しなくていいよ」「お前は上から2番目に良い扱いだよ」という意味。
オオハシ神のやってるような組み合わせは知らないが、アフサラでしかもオオハシのことだ。
どうせ単に奈良の大仏と鎌倉の大仏の手の形を合わせただけか、おカネのジェスチャーに違いない。
なお、印相は両手の親指と薬指で丸をつくる
オオハシがこれじゃないのが不思議だが、まあ判断するのもオオハシだし。身内びいきよ。
カメ社長いじめ
歩道でカメ社長が子供3人にいじめられているシーン。
出典:アフリカのサラリーマン/11月4日放送/TOKYO MX
元ネタは、おとぎ話『浦島太郎』で浦島太郎が子供達からカメを助けるシーン。
浦島太郎はお礼にと龍宮城へ招かれてもてなしを受けるが、最後には玉手箱を開けて老人となる。
個々で時間の流れが変わる現象のことを「ウラシマ効果」と呼ぶが、このことや原作のオチ、カラカルが雇われた先がとんだブラック企業ということを考えると、これから彼に待ち受ける試練が透けて見えるようだ。
ちなみに、いじめてるワニのTシャツは、色といい柄といい『ドラえもん』のジャイアンがよく着てるものである。
アフリカのサラリーマン5話の感想
何より言いたい。5話はパロネタが少なかった。
こんなに嬉しいことはない……!
おっと、せっかく少なかったのに自分で足してしまった。禁断症状かな。
出典:アフリカのサラリーマン/11月4日放送/TOKYO MX
それはもういいとして、今回のテーマの一つだった動物の就活について。
正直、今回マジで書くことないなと思ったりもしたんですが、考えればあるもんですねえ。自分でも新しい発見でした。
群れは基本的に血縁関係の集まりと書きましたが、同種であってもよそ者が見破られるメカニズムについては不思議なんですよね。
人間のように顔で見分けるという種類もいるようですが、アリやハチは仲間を識別するフェロモンを出して巣仲間を見分けているそうです。でないと、ミツバチなんかは蜜を盗む「
となると、上述のヒツジに紛れ込んだブタなんかは、ヒツジの仲間意識が弱いからできたことなんじゃないか?
ヒツジってとにかく群れたがるし、先導する個体についていく習性があるので、あえて1頭ヤギを紛れ込ませて、散り散りにならないよう仕向けることもあるそうです。カルガモかよ。
ちなみに、アリははぐれると過剰に動き回って早死するんだとか。基本的に社会性動物は孤独に弱いのです。
われわれも群れる社会性動物ですから、いつも何かしら外部との繋がりは持っておきたいものです。
なんか今回は真面目だな。いいことなんだろうけど、サブイボが出そうだ。
じゃ、暖かくして寝ます。またお会いしましょう。
コメント