カメ社長の優しさが南国諸島に響き渡る『アフリカのサラリーマン』。
ハワイに来ておきながら水着を着ないのも、アフサラのアフサラたる
誰も見たくないわ。柴犬侍です。
アフリカのサラリーマン7話はというと、オオハシがワイハでウクレレ片手に浮かれポンチで学友と一緒にイオラニ宮殿でルパンルパーンという回でした。
アロハ……ワイキキビーチ……うさみちゃん……うっ、頭が。
初の前後編ですが、いうほど6話と話は繋がっていません。
強いていえば、前回で初登場したミツオシエとラーテルが引き続き出てたことくらい。
相変わらず持ちネタをやってましたが、ダイヤモンドヘッドでは同じように怖いもの知らずの登山者が進入禁止区域に入って救助されたりしてるんで、諸君はラーテルリスペクトも程々にしておきましょう。
今回は初登場の動物・ハワイガンとおまけでグリーンアノールの解説、あとは7話の総括的なネタとして「渡りをする動物」についてでも書こうかなと。
ハワイ回ということでハワイ要素の解説でもと思ったりもしましたが、どうしたってただの観光案内になってしまうし、やっぱり動物じゃないとね。
思い出せ、このアニメが何か。思い出せ……思い出せ……
思い出したらスクロール。
モチーフ動物ポイント
全世界870万種待望のモチーフ動物ポイント。
初の3週連続です。やったぜ。
さて、アフサラ7話に登場したのはハワイガンと?
トカゲ君の独り言として登場したグリーンアノールです。
まだ空港職員のシロクマの方が見せ場あっただろと思われる方もいるかもしれない。
だが、待ってほしい。
諸君はこのグリーンアノールとハワイガンの意外な共通点を見落としている。
ここに隠された作者の意図があると考えた結果なので、どうか海のように広い心で見守ってほしい。
ただし本項ではなく、その次でである。
オオハシの同窓・ハワイガン
社員旅行でハワイまで来たアフリカ商事一行を案内したガイドの鳥・ハワイガン。
ハワイ諸島にのみ生息し、州鳥に指定されているカモ科の鳥です。
ハワイ語ではネネ(Nēnē)と呼び、これはその鳴き声に由来する。
出典:アフリカのサラリーマン/11月18日放送/TOKYO MX
北米に生息するカナダガンがハワイまで渡り、留鳥化したのが本種とされています。
祖先ということもあってカナダガンと似ているものの、繁殖期が春・夏のカナダガンに対して冬であったり、山岳地帯や溶岩地帯に生息していて、主に草や果実を食べて暮らす陸鳥のためか、水かきが退化しているといった違いがある。
なお、
盗みに入る前に立ち寄ったミリタリーショップでこれ見よがしに銃器を映していたが、あれは「ハワイの
ハワイで激減した鳥
日本では害鳥扱いで、大型鳥類初の特定外来生物に指定されたカナダガンに対して、ハワイガンは国際保護鳥に指定されている。
レッドリストでは絶滅危惧II類 (VU)で「絶滅の危険が増大している種」と評価され、世界的に保護の対象。
というのも、18世紀にはハワイ諸島の各地に約25,000羽が生息していたとされるハワイガンだが、乱獲やマングース等による影響で、1950年代に個人飼育の約30羽を除いて、事実上絶滅したのだ。
その30羽ほどが今日のハワイガンの祖先であり、国際保護鳥指定などの保護活動によって、現在の総数は数千羽まで回復している。
現在も現地ハワイ諸島においても希少のようで、野生の個体はハワイ・マウイ・カウアイ・モロカイの四島にのみ生息しているようだ。
つまり、アフリカ商事一行が到着したホノルルのあるオアフ島には(野生の)ハワイガンがいないということになり、このことがわざわざ日本出身のハワイガンをツアーガイドに採用した理由なのかもしれない。
オオハシの地元のダチ
「神戸出身のオオハシの地元のダチ(友達)」ということを指摘され、ハワイガンがうろたえるシーンがありましたので、これについてちょっと考える。
7話のクライマックスをかんがみるに、オオハシへの復讐を考えていることを悟られないようにという行動だったのだろうけども、それにしてもなぜ神戸。
単にオニオオハシが神戸の動物園にいるからかと思いきや、神戸市の動物園では「神戸どうぶつ王国」にヒムネオオハシ、「神戸市立王子動物園」にシロムネオオハシがいるようだが、オニオオハシは見当たらないし、ハワイガンの方も同様だ。
出典:アフリカのサラリーマン/11月18日放送/TOKYO MX
一方、ハワイと日本に共通して飛来するガンには、カナダガンをはじめとしてマガン・シジュウカラガン等がいる。
日本で特定外来生物に指定されていると話した通り、カナダガンは日本にも渡来してくる。
カナダガンがハワイガンを名乗ってるのかとも思ったが、首まで白いので見た目もハワイガン。
これは、渡ってきたカナダガンがハワイに定着して独自進化したという、ハワイガンの歴史を踏まえたネタと考えられる。
グリーンアノールおじさん
バスで移動中、トカゲ君の独り言として登場したグリーンアノールなるトカゲ。
ワンシーンだけの登場だったけど、せっかくなので軽く触れときましょう。
出典:アフリカのサラリーマン/11月18日放送/TOKYO MX
グリーンアノールは、アメリカ南部原産の有鱗目トカゲ亜目イグアナ科。イグアナです。
サイズはニホントカゲよりやや小さいくらいで、体色を基本の緑から黒褐色~黄緑色まで大きく変える変色能力を持つ。別名アメリカカメレオン。
主な生息地はアメリカ大陸だが各地に移入していて、特に小笠原諸島では在来昆虫等を絶滅に近い状態に追いやるなど暴れ回っており、カナダガンと同じく特定外来生物に指定されているインベーダー。
移入先は日本(小笠原諸島・沖縄)のほか、ハワイ諸島など。
トカゲ君は「ハワイに住んでるグリーンアノールおじさん家ってどのへんなんだろう」と言っていただけで、親戚かどうかも不明だが、まあ単に日本とハワイを繋ぐトカゲ仲間として白羽の矢が立ったのだろう。
え? なに、舞台はアフリカ?
知らないところですね……
動物界の「渡り」
ハワイガンは、日本からハワイのツアーガイドにバイトで入った。定住したわけではないだろう。
グリーンアノールはハワイ出身というだけで、日本へは旅行に来ていたようだ。
どちらもモチーフでは「移入」だが、作中の描写では「渡り」。
そして、社員旅行でハワイまで休暇に来たアフリカ商事一行も、いうなれば「渡り」である。
ということで、アフサラ7話記事のテーマは「渡り」です。
渡り
動物が遠く離れた地域間を季節的に往復することをいう。
参照:コトバンク
「渡り」をする動物
7話まで観ていながら、ライオンやトカゲが社員旅行でハワイまで行くことに疑問を覚える正常な感性をお持ちの方のためのコーナー。
渡り鳥という言葉に代表されるように、「渡り」というものは鳥類にだけ見られると考えがちだが、実際には哺乳類・爬虫類など動物界に広く見られる行動である。
哺乳類では、日本の一般的なコウモリであるアブラコウモリや、ハワイ在来のアカコウモリ等に。
爬虫類ではウミガメで、砂浜で産まれた子ガメが外洋へ出てから、繁殖期になると産まれた砂浜へと戻ってくる「回遊」を行なう。これはちょうど、サケの母川回帰と同じである。
ちなみに「渡り」と「回遊」は、英語ではどちらも「migration(マイグレーション)」であり、同じ性質のものと考えられていたりする。
昆虫ではアサギマダラが有名で、春から夏にかけて本州の高原地帯を北上し、秋になると南下する。
アサギマダラは日本で唯一の「渡り」をするチョウであり、時には海を渡り数千キロを旅するとして、新聞などを度々賑わせる。
長距離移動でいうと、キョクアジサシが世界最長距離の「渡り」をする鳥として有名で、北極から南極までその距離なんと年間8万キロ。地球が2周できる。
動物が「渡り」をする理由は様々だが、基本的には冬は暖かい低緯度、夏は涼しい高緯度で過ごすために南下したり北上したりする。
その証拠に、北米のガラガラヘビは、アメリカ南部に生息する個体は殆ど移動しない一方、カナダの個体は春・秋になると往復8キロから53キロという長距離を移動する。
同じ種類でも「渡り」をするものとしないものがいるのである。
「移入」する動物
ハワイガンは、ハワイに定着したカナダガンである。
渡ったまま帰ってこなかったわけだが、これは移入と呼び、外来種扱いとなる。
作中で出てきたグリーンアノールも(実際のは)そうだし、ハワイで仕事を始めたハワイガンもあるいはそうかもしれない。
こうした移入が起きる要因は様々なのだが、多くはトカゲ君がやりかけたようにパスポートを持たず、非正規の方法で入国する動物がいることである。
出典:アフリカのサラリーマン/11月18日放送/TOKYO MX
グリーンアノールの移入でいえば、外来種のご多分に漏れずペットとして持ち込まれたものが脱走したり、物資輸送の際にくっついてきたものが定着して起こるそうだ。
外来種はしばしば定着先の生態系に大きなダメージを与え、グリーンアノールのように移入先の昆虫を殆ど食い尽くしてしまったものもいれば、イエシロアリのように建築や書籍、ケーブル類にまで被害を広げるものもいる。
猛毒を持つセアカゴケグモなども、定期的に話題になるので知っている人も多いはず。
大陸ならともかく島では閉じた生態系ができていることが多く、外来種は問題になりやすい。
オオハシとハワイガンがイオラニ宮殿でやったことは、一種の風刺といえる。
害獣として知られるアライグマが日本で野生化したのは、アニメ『あらいぐまラスカル』の影響でペットとして人気を博したものの、飼育しきれずに各地で脱走・遺棄が繰り返されたのがその始まりとされている。
アライグマは凶暴で、人に全くなつかないのでペットには不向きなのだ。
そして現在、アライグマは農作物を食害したり、様々な感染症を媒介して人間に危害を加えるため、大阪府
「渡り」は多くの動物が自分の力でするし、渡ったまま戻らない動物もいる。
しかしながらアライグマのように、人の手によって持ち込まれた外来種の中には、何十年にも渡って被害を広げる存在になりかねないものがいることも事実である。
人間の身勝手で駆除対象になってしまうのは動物たちにしても不憫なので、こういう「渡り」は誰にとっても好ましくない。
飼い主には最後まで責任をもって飼育してほしいところだし、飼育に責任を持てないようであれば、せめて不妊・去勢などの繁殖制限を考えるとよいだろう。
パロディの元ネタ
アフサラ7話のパロは歴代最少でした。
オオハシの態度くらいブレ幅がひどい。
BARミヤン? アフガニスタンの都市でしょ?
ちなみに、7話でオオハシやハワイガンがやってた親指と小指を立てるジェスチャー、あれはハング・ルースといって「こんにちは」「ありがとう」といった意味がある。
るーみっくの例の指というわけではない(毒された)。
手すりから落下するラーテル
ハワイガンが2番目に案内した観光地・ダイヤモンドヘッドの手すりで遊んでいたラーテルが、足を滑らせて落下するシーン。
しばらく落ちずに空中をもがくラーテルといい、それを見て笑うミツオシエといい、アメリカのカートゥーンアニメ『トムとジェリー』を彷彿とさせる。
吸い込まれるかのような落下シーンも、アメリカのカートゥーンでは定番のもの。
カメカメハ大王像
ハワイガンが3番目に案内した観光名所に建っているカメの像。
出典:アフリカのサラリーマン/11月18日放送/TOKYO MX
元ネタは、ハワイ州に建っているカメハメハ大王像。
像は3箇所にあるが、台座からするとモデルはオアフ島ホノルルにある、ハワイ州の最高裁判所・アリイオラニ・ハレ前の大王像。
像の経歴はハワイガンが話したものと同じ。
像の見た目はどう見てもカメ社長で、カメとカメハメハ大王ということから漫画『ドラゴンボール』のパロディも入っているかもしれない。
『ドラゴンボール』の主人公・孫悟空などが使う代表的な必殺技・かめはめ波は、悟空の師匠・亀仙人が編み出したものだからである。
宮殿へ盗みに入るオオハシの服装
イオラニ宮殿へ財宝を盗みに入ったときのオオハシの見覚えのある服装。
出典:アフリカのサラリーマン/11月18日放送/TOKYO MX
赤ジャケットに黒っぽいインナーに黄色のネクタイというスタイルは、漫画『ルパン三世』の主人公・ルパン三世が愛用している取り合わせ。
ルパンは青や緑のジャケット姿も有名だが、ルパンのトレードマークとしてはこれが代表格で、実写版や今冬公開予定の3DCG映画『ルパン三世 THE FIRST』でもこの取り合わせが採用されている。
AFN
オオハシ・ハワイガン逮捕のニュース映像右上のウォーターマーク。
元ネタは、FNN系列各テレビ局で放送しているニュース番組「FNNニュース」。
なお、アフサラの放送局にFNN系列は入っていない。
アフリカのサラリーマン7話の感想
お詫びに「ありがとう」のハンドサインをしてるオオハシ置いときますのでこれで許してください。
出典:アフリカのサラリーマン/11月18日放送/TOKYO MX
さて、オスだらけのハワイ旅行という地獄絵図となったアフサラ7話。
アフサラレギュラーのメスっ気のなさを痛感し、「アフリカのJK」がいつになく輝いて見えた。
これを、メンバーにゴリラが混ざると人気が出る法則といいます。
ハワイ編となった7話の見所は、やはりハワイガン。
初登場にしてこのキャラの濃さ、1話から散々好き放題やってきたオオハシについに天罰が下されたということで、溜飲が下がったという方もいるでしょう。
5話では車にはねられてましたけど、法的裁きを受けるのは初。余罪いろいろ出そう。
他にもオオハシが神戸出身とわかったり、トカゲ君の親戚?にグリーンアノールがいることがわかったりと、レギュラー陣の生い立ちにもちょろっと触れていたほか、空港のパネルにガッツリ地名が出てたことが印象的でした。
TOKYO、PARIS、HONG KONG、SONOHEN、DOKO、SOKO、ASOKOKA、HONOLULU、GUM……
東京が入ってるけど、この期に及んで「舞台:アフリカ」を堅持しようとする見苦しさよ。
なんか作者名のガムが地名扱いだったので、これからは「舞台:ガム」でいいのでは?と思う次第。
ガムのサラリーマン。
クチャクチャしてそう。それではまた来週。
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